注文住宅を建てる際に起こりうるトラブルとは?
憧れのマイホームですが、建てる際にはさまざまなトラブルが生じる可能性もあります。よく見られる問題については、施工中に直面する事柄と施工後に生じやすいケースに大きく分かれます。それぞれについてどういった問題例があるのかを紹介します。
ご近所トラブルにならないように気を付けよう
家を建てる工事は、騒音をはじめ臭いや土埃の発生などは防ぐことができません。また現場には工事車両が行き来します。施工中にご近所の家に、いろいろと迷惑をかけてしまうことになります。
注文住宅の施工中によくありがちなトラブルの代表が、ご近所との揉め事なのです。ペンキの臭いや埃を避けるために、窓を開けることができなくなる時期もあります。洗濯物や布団を思うように干せないと困るご近所の人もいるかもしれません。
また工事車両が出入りするために、子供さんのいる近隣家庭には神経を使わせてしまいます。工事の騒音で、昼寝ができないと悩むご近所さんもいるでしょう。いずれにせよ、工事をするということはご近所さんに多かれ少なかれ不快な思いをさせてしまうわけです。
さらに遠方から越してきて家を建てる場合は、尚更その土地の者ではないので居心地が悪くなってしまいがちです。せっかくマイホームを建てたものの、工事中のいざこざのせいで住み始めてからご近所付き合いがうまくいかないのも辛いでしょう。
施工中にご近所とのいざこざを防ぐためには、工事前の挨拶回りが欠かせません。工事担当者と一緒に、両隣と向かいの三軒、そして裏の三軒に粗品を持って挨拶に行きましょう。粗品はタオルや洗剤などが一般的です。
工事業者だけで挨拶に回る場合もありますが、家の主も一緒に行くほうがご近所の人に良い印象を持ってもらえます。遠くから来た場合は顔合わせにもなりますし、丁寧に挨拶をしておきたいものです。
工事の開始日とだいたいの完了予定日も伝えます。良心的な業者であれば問題ありませんが、中には現場にきちんと養生シートを張ってくれない業者も見られます。またその日の工事完了後に現場の掃除や片付けをせずに帰る業者もいるでしょう。そういった事柄が、ご近所さんへの印象を悪くする可能性もあります。
いざこざを防ぐためにも、掃除や安全対策を万全にしてくれる業者を選ぶことが大切です。また、雨の多い季節などは工期が延びてしまうこともあります。挨拶回りの際に伝えた工期が延期になる場合は、再度近隣宅を訪れてその旨を詫びておきましょう。
工事業者との揉め事を防ぐには打ち合わせが大切
工事業者との揉め事が起こるケースも少なくはありません。最も多いのは、金銭面での問題ではないでしょうか。工事がスムーズに進めば良いですが、施工中に想定外の何かしらが起きる可能性もあります。
予定していた建材が使えない状況が見つかったり、思いがけず追加工事が必要になったりとさまざまな事例があります。そうなったときに揉め事につながるのが、工事費用についての問題です。
考えてもいなかった追加料金が発生して「そんな話は聞いていなかった。予算内で何とかならないのか」と依頼主はイライラしてしまうのです。金銭面でのトラブルを避けるためには、プランニングの時点での見積もりが重要です。
まず見積書に関しては、できる限り詳細まで内訳を書いてもらうようにしましょう。そして万が一起こり得る追加工事例についても、しっかりと事前に聞いておくことが大切です。追加工事については、オプションにおける追加料金がいくらなのかも明確にしておく必要があります。良いことばかりではなくマイナス面の話もきちんとしてくれる業者であれば信頼できます。見積もりの時点でいい加減に聞いていて、後から怒っても仕方がありません。
もうひとつ、施工中に起こりやすい業者とのいざこざに工期の遅延があります。工事がスムーズに進むかどうかは気候にもよりますし、予想外に手間取る事項が生じた場合は工事が長引きます。業者が明らかにさぼっているのであれば業者側が100%悪いですが、気候や気温や想定外の問題発生などは業者を責めても仕方がありません。
遅延が生じたときは、イライラして怒る前に何が原因なのかをきちんと説明してもらいましょう。遅延問題を防ぐには、プランニングの時点で工事の着工計画書を制作してもらうことも大切です。
「〇月〇日 〇部分を着工予定」などと細かく書かれた予定表を提出してもらうようにします。書面での工程表があれば、お互いに工事状況も把握しやすくなります。金銭面にせよ工事遅延問題にせよ、業者と念入りな打ち合わせをすることときっちりした書面を書いてもらうことで大きなトラブルにならずに済むはずです。
施工後にありがちな問題例を知って事前に防ごう
無事に工事が完了したと思った矢先に、問題が生じることもあります。施工後のトラブルにはどういったものがあるでしょうか。よくありがちなのは、完成した家を見て「思っていたイメージと違う」と感じてしまうことです。例えば外壁の色が希望していた色と違っていたというような事例です。業者によっては、無料で手直しをしてくれます。
しかしながら大きく変更しなければならない場合は、追加料金がかかってしまう可能性もあるので気を付けなければなりません。こうした問題を防ぐためには、プランニングの時点でのシミュレーションが重要です。
そしてできる限り正確に、希望のイメージを業者に伝える必要があります。雑誌の切り抜きやインターネット上の写真などを業者に見せて、「こんな色、こんなデザインにして欲しい」とダイレクトに伝えるのも良い方法です。理想的な施工例があったなら、業者の人に直接見てもらいましょう。カラーシュミレーションなども活用して、後悔しない色選びとデザインを考えたいものです。
また工事完了していざ住み始めたら、設備の不具合が見つかるというケースもあります。思いがけず床や柱に傷を見つけたり、収納扉がうまく開かなかったりと、住んでから出てくる問題もあるでしょう。そういった場合、冷静に業者に連絡します。そして現場を見てもらい、対処法について考えてもらいます。
家の中の傷は、「住み始めてから住人によって作られた傷」だと言われてしまう可能性もあるでしょう。そうなるとまた揉めてしまうので、工事完成後の写真を撮っておくと安心です。一般的には、注文住宅を依頼した業者は工事完了後のアフターフォローやメンテナンスもきちんとしてくれるものです。逃げずに責任を持って対応してくれる良心的な業者を選ぶことも大切と言えます。
工事中は何かと不便もありますし、周囲にも気を遣うものです。それ以上に施工中や施工後にトラブルが相次ぐと、マイホームを建てることにドッと疲れてしまいます。家造りが嫌にならないためにも、満足いくマイホームが完成するためにも、できる限りトラブルが生じないよう対策を取り入れたいものです。
そのために何より重要なのは、信頼できる業者選びです。そして見積書や工事日程表など、きちんと書面を提出してもらいましょう。それらは何かあったときの証拠にもなります。書面制作を手抜きする業者なら、その時点で業者を変えるべきです。気持ち良く住めてご近所との関係も円満にいってこそ、本当の意味で注文住宅が成功したと言えるのです。